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がん治療について

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スピリチュアル・ケアとは?

 緩和ケアが広く行き渡るようになってきましたが、そのケアの真意が必ずしもよく理解されているとは限りません。スピリチュアル・ケアとはどういうことなのか、その具体的な事例をもってご紹介いただけませんでしょうか?  

 「症状緩和」が、がん患者さんに生じているつらさを解決しようとする「問題解決志向」とするなら、「スピリチュアル・ケア」は「問題解決志向」とは質的に違う「関係性に基づくケア」といえます。
・ 治らない病気だとわかっていて、生きていくのがつらい
・ (転移で脊髄麻痺になって)トイレにも自分で行けないのに生きていくのがつらい
 上記のように、「スピリチュアルペイン」は、容易に解決できない個別の人生に関わる苦悩を指すと言われています。
 したがって、多くの医療者がよく行うように症状を解決しようとする思考、答えを探して提示する姿勢では苦痛を取り除くことには繋がりません。その本人がつらさに「意味」を見いだすことができれば、そのつらさを抱えることができます。そのつらさを抱えることができるように「意味」を見いだす支えになる関わりが「スピリチュアル・ケア」です。そのつらさにどのような意味を見いだすかについて、正解はなく、医療者や家族が本人に代わって答えを提示することができません。「スピリチュアル・ケア」は、つらさを抱えている人が「意味」を求めて四苦八苦する過程に寄り添い、つらさを幾分か共有しながら共に歩んでいくことが必要になります。
 そのケアには、「スピリチュアルペイン」を「症状」と見なし、その「症状」を緩和するにはどうすればよいのかとの「問題解決志向」で関わるのではなく、そのつらさに患者本人が少しでも「意味」を見出せるように「関係性」で支えるというイメージがわかりやすいと思います。

 

 

独立行政法人国立病院機構北海道医療センター精神科医長 上村 恵一
出典 The Way Forward No.17, 2020年

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