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がんQ&A

がん治療について

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ロボット手術とは?

  いままで内視鏡手術といって胸腔内手術、腹腔内手術が広く行われてきました。ところが最近、「ロボット手術」というものが登場してきたようです。ロボット手術というのは従来の内視鏡手術と根本的に何が違うのでしょうか? 具体的にどんなメリットがあるのでしょうか? ロボット手術がとくに有効に活用されるのはどんながんなのでしょうか?

 従来、大腸がんに対してお腹を開けて行う手術(開腹手術)は約20-30cmの大きな傷が残るものでした。近年、手術器具の開発によりお腹に数カ所の小さな穴を開け、そこから内視鏡や鉗子を入れ映像をモニターで見ながら行う低侵襲手術(腹腔鏡手術)ができるようになりました。腹腔鏡手術は開腹手術と比べると傷が小さいため、痛みが少なく手術痕もほとんど目立ちません。入院期間も短いなどのメリットがあります。さらに高精細画像により鮮明な拡大視が可能となり、少ない出血でがん組織をつつむ膜を破らないように取り除くことができます。最近では、さらに精度の高い手術を目指して「ダヴィンチ」というロボットによる手術(ロボット支援手術)が導入されました。「ダヴィンチ」は腹腔鏡手術を支援する装置で、全世界のがんを含めた総手術件数は年々増え続け、2018年には年間100万例を超えました。ロボット支援手術では、執刀医は患者から少し離れた操縦席で、体内の3次元映像を見ながら手元のハンドルや足先のペダルで本体の4本のアーム(腕)の先に取り付けた手術器具を操作します。手術機器をロボットでコントロールするので、人間の手と違いぶれずに繊細かつ精度の高い手術が可能です。メスなどの器具は、人の手が届かない体内の狭く深い部分まで達し自由に動かせます。がんを残すことなく確実にしっかりと切り取り、かつ周りの臓器、神経、血管を傷つけず術後の機能温存(性機能、排尿機能)が期待できるというメリットもあります。このようにロボット支援手術は狭い骨盤内の手術において有用性が認められるようになり、2018年に直腸がんに対して保険が適用されました。これまで全国で1年間に数百例だった手術件数は数千例へと爆発的に増えています。しかし、「ダヴィンチ」は、外科医であれば誰でもすぐに操作でき、手術ができる機器ではありません。術者になるには、学会が認定するライセンスの取得や、規定されたトレーニングを修了し、そのがんの手術や内視鏡手術に精通していることなど、いくつもの条件が課せられています。病院が保険診療で各がんの手術を行うには、医師のロボット支援手術経験数や施設の手術件数などの基準を満たすことが条件となっています。最先端の手術の質と安全を保つためです。まずは主治医らに相談し自分は手術の対象になるか、「ダヴィンチ」がある医療機関に保険適用で受けられるかどうか、を調べて確認するとよいでしょう。

 

札幌医科大学消化器・総合、乳腺・内分泌外科教授 竹政 伊知朗

出典 The Way Forward No.17, 2020年

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