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がんQ&A

がん治療について

がん治療について

口は禍のもと

 がん治療開始前に歯科受診し口腔内をチェックしておくことの重要性は厚生労働省も認識しており、すでに保険診療に組み込まれております。ではなぜ歯科での口腔管理が重要なのでしょう。また、なぜがん治療開始前が理想的なのでしょうか。

 昨今、多種多様な抗がん剤治療、分子標的薬を用いた治療法が開発されており、治療成績が向上しております。しかし、これらの薬の中には粘膜が非常に荒れるものもあり、口内炎ではなく口腔粘膜炎とよばれます。頭頸部の放射線治療も重症の口腔粘膜炎を伴います。口腔粘膜炎の症状を緩和する手法も従来の含嗽剤だけではなく、進歩してきております。一昨年には口腔粘膜に対する創傷被覆・保護剤であるエピシル○Rが保険導入され、口腔粘膜疼痛の緩和に役立っております。分子標的薬による孤立性の口腔粘膜炎においてはステロイド軟膏も有用です。また、抗がん剤の多くは免疫力の低下を伴うため、がん治療中に歯周炎が悪化し、歯肉や顎が腫れて歯科を受診される患者さんもおられます。疼痛で口が開かない、噛めない、食事が摂れない状況では辛いがん治療を乗り越えることはできません。がん治療を開始する前に必要な歯科処置を受けておくことが大切です。骨転移を治療する薬剤の中には、顎の骨が腐る(顎骨壊死)リスクが高まる薬剤もあります。この様な薬剤を開始する前に口腔内の状態をチェックし、また開始後も口腔管理を継続することで顎骨壊死リスクを減らすことができます。ぜひ、がん治療開始前に歯科を受診し、少しでも不安要素を減らして、がん治療に臨んでいただければと思います。 

北海道がんセンター歯科口腔外科医長 秦浩信
出典 The Way Forward No.18 2020年

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