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がん治療について

がん治療について

小児がん、治療のコツとは

 小児がんのなかでも治りやすいもの、あるいは治りにくいものの違いがあるようです。その違いはなぜなのでしょうか? 何か特別のものがあるのでしょうか?  なお、小児がんの治療のあとに稀ならず治療による副作用ともいうべき「晩期合併症」として新たながんが、治療後20年、30年経ってから出てくることがあるとお伺いします。さらばとて、後遺症を避けるために治療をしないわけにもいきません。そのような合併症を予防することは可能なのでしょうか?

 成人のがんと同様、小児のがんも遺伝子異常によって起こります。同じように見えるがんでも、その遺伝子異常は様々で、それによって薬の効きかたも変わってきます。例えば小児で多い急性リンパ性白血病でも、 TELとAML1という遺伝子に異常のあるタイプはとても治りやすいですが、 BCRとABLという遺伝子に異常のあるタイプは通常の薬は効きにくく、従来は全例で骨髄移植が行われていました。しかし、現在ではこのタイプにだけ効く、いわゆる分子標的薬が開発されてきています。このように、同じように見えるがんであっても、遺伝子異常の違いによって治療方法が変わる時代になってきました。
 一方、治療終了後に新たながんが起きる、いわゆる二次がんは、小児がん治療の最も大きな問題ですが、最近明らかになってきたのは、いわゆる生まれつき(体質)の問題です。同じ治療を行っても二次がんによりなりやすい人たちがいることがわかってきました。それは家族性腫瘍あるいは遺伝性腫瘍と呼ばれるもので、実際に家族には同じ腫瘍になった患者さんがいなくても、生まれつき、その遺伝子異常を持っている人が見つかることがあります。今後は二次がんを起こしやすい人があらかじめ検査によってわかるようになり、そのような患者さんは治療方法を工夫することになっていくと思われます。例えば、TP53という遺伝子に変異のある人は放射線治療を避けて薬物療法をメインにするなどです。

 

北海道大学大学院医学研究院小児科学教室 教授 真部 淳
出典 The Way Forward No.17, 2020年

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