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がんを正しく知る

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感染症はがんの原因になるのですか?

感染症ががんの原因になるなんていままで全く考えられなかったのですが、感染症によって起こる慢性疾患ががんをつくることが意外に多いことがわかってきました。
現在、がんの原因の20%以上、ときには30%が何らかの感染症によるとみる専門家もいます。代表的なのはピロリ菌によって起こる胃がんです。またC型、B型肝炎ウイルスによる肝臓がん、次いでパピローマウイルス16、18型による子宮頸がんなどもよく知られています。こうした感染症自体はワクチン、除菌などの予防措置が世界的に進められていますので、これらのがんも近い将来次第に減少の傾向がみられる筈です。
そのほかにも稀なものではありますがHTLVウイルス感染による成人T細胞白血病(西日本に稀にみられる)とか、エイズ感染者にみられるカポジ肉腫(アフリカにみられる)などいくつもの事例が知られています。
いずれもそれぞれの原因によって生ずる超慢性の炎症が長時間にわたる経過のなかで細胞のがん化を促進すると考えられます。ということで感染症、あるいは何らかの原因による「慢性炎症」というものに対する新たな注意が必要になってきました。
TV番組「NHKスペシャル」(2016年)で、百寿者といわれる人の多くは炎症の一つの指標であるC反応性タンパク(CRP)というものの数値がごく低い値であったという事実が紹介されていました。このことも「がんと炎症」の関係を示唆するものかも知れません。

(公財)札幌がんセミナー理事長 小林博

(出典 The Way Forward No.14, 2018年)

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