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がんの未来

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抗がん剤はどうして副作用が強く、なぜ効きにくいのか?

 前田先生は古くから抗がん剤の効果を高めようということでいろいろご苦労されているとお聞きしておりました。抗がん剤の効果をあげるためには何が必要なのでしょうか? 先生がやられているお仕事の代表的なものだけでもご紹介いただけますか。

 一般の抗がん剤の効果は満足できるものは少ないです。それが効かない理由として、多くの場合、がん細胞にいっている血管が血栓などで目詰まりして、投与(注射)した薬が血中でうまく流れていかない、つまりがん組織に到達しないからです。心臓の狭心症と同様のことです。そこで血流を再開通させるためにはニトロ剤やアルギニンなどを同時に投与することで狭心症は治ります。ニトロ剤はがん局所で一酸化窒素(NO)になって、血管を拡げるので、血液も流れ、薬もがん局所に到達し易くなるのです。
 また、一般の抗がん剤は薬の分子が小さいので、全身の正常臓器に侵入し易く、副作用が強く出ます。ですが私が現在開発中の高分子型抗がん剤(P-THP)などを使うと薬ががんの局所にのみ、よく集まるようになります。理由は、高分子型の薬だけががんの局所の血管からは漏出し易く、蓄積するためです。

 

 

一般社団法人バイオダイナミックス研究所理事長 熊本大学名誉教授 前田 浩
出典 The Way Forward No.16, 2019年

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