SCSF 公益財団法人札幌がんセミナー

PAGE TOP

がんQ&A

公益財団法人札幌がんセミナーTOP / がんQ&A / 「標準治療」というものの意味

がん治療について

がん治療について

「標準治療」というものの意味

 私は3年前に乳がんと診断され手術をしました。その後は元気に生活していたのですが、先日腰と股関節に強い痛みがあり整形外科に行ったところ、骨の転移が見つかってしまいました。一番いい治療を受けたいと思いインターネットを調べると、ある病院で自費になり高額ですが特別な治療があることがわかりました。乳がんの主治医に相談すると、私の場合はまず標準治療をしっかり受けましょうといわれました。標準治療で良くなるのでしょうか?

 乳がんの転移が見つかってしまい、とてもつらいお気持ちでいることは良くわかります。一番いい治療を受けたいですよね。

 私の回答は一番いい治療をうけましょうという事です。でも待ってください、一番いい治療はインターネットで検索して出てくる自費の高額な医療ではなく、実は標準治療です。

 標準と聞くと「松竹梅」の「竹」か。私は多少お金がかかっても「松」の治療を受けたい。と思うかもしれません。標準治療は「竹」の治療ではありません。様々な科学的な検証がされた、現時点で最も安全で最も効果が期待できる治療が標準治療なのです。

 新しい治療法が生まれたとします。それがとても有望であると専門医が考えた場合は、今までの標準治療とその新しい治療を比較してどちらが優れているかを調べる臨床試験が行われます。もし新しい治療が従来の標準治療よりも優れていることがわかれば、その新しい治療が今後の標準治療になるのです。したがって、標準治療はチャンピオンの治療です。怪しげな自費の診療より標準治療は遙かに優れているのです。

 

北海道がんセンター副院長 高橋 將人

出典 The Way Forward No.18 2020年

一覧へ戻る