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がんを正しく知る

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全国紙に広告されたがん免疫療法は有効なのですか?

がん免疫療法に対する期待が高まっていることを背景にして、2016年4月3日の日本経済新聞に「標準治療の限界を打破する鍵となる完治をめざす『がん治療設計』」という一面広告が掲載されました。続いて4月6日に「『免疫』が変えるがん治療の世界」というやはり一面広告が載りました。これはどこまで真実と理解してよいでしょうか?

それぞれ独自のがんの免疫治療を推奨している会社からの広告です。

前者は藤井昌則氏(リンパ球バンク株式会社の社長)と石井 光氏(一般社団法人がん治療設計の代表者)の著書『保険診療+先端医療 完治をめざす「がん治療設計」』の内容を紹介する形をとっています。後者はMEDI+NETという会社の広告でして、患者自身のリンパ球を試験管内で活性化して戻し移入するというこの会社が推奨する「免疫細胞治療」を紹介しています。

これら広告に紹介されているがん免疫療法は実際にある程度は有効なのかも知りませんが、一般にがん免疫治療の効果には著しい個人差があり誰にでも同じように効くわけではありません。また、広告では治療費については全く触れられていませんが、このように全国紙の一面に広告を載せることに見合うメリットがあるとしますと、かなりの高い治療費になると考えて良いでしょう。これらの免疫療法の広告は、がんの治療に行き詰まっている患者やその家族が飛びつきたくなるような内容になっていますが、その治療を試みてもらう前に、もう一度よく考えてみる必要があるでしょう。

評議員・北海道大学名誉教授 細川真澄男

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