いま新型コロナウイルスの変異株が猛威をふるっています。変異株は感染力も高く、致死率も高いといわれたり、またそうでもないとの報告もあって結論はありません。ただ、感染者が激増し、新たな恐怖の対象になっていることは間違いありません。
　「変異」といえば、がん細胞も正常細胞の変異によって生まれたものです。一旦、がん細胞が誕生すると、いままで以上に変異を起こし易くなります。がん細胞は時間経過とともに遅かれ早かれ悪性化の方向に、変異を繰り返し起こして進みます。変異の少ない早期発見のがんは、単に小さいから安心というのではありません。変異の度合が少ないから、つまり悪性化していないから安心なのです。早期発見の大切さは、永遠に生きる絶対的な鉄則です。　

公益財団法人札幌がんセミナー / 北海道大学名誉教授

　小林　博
出典　The Way Forward No.19, 2021年