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がん予防

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コロナ禍でのがん検診

 コロナウイルスの流行の影響で、がん検診を受診する人が減ったと聞きました。混雑する検診会場や病院には行きたくないのですが、どうしても受診しないといけないでしょうか? 

 2020年3月末からの一度目の緊急事態宣言の中で、4月~5月のがん検診はほとんど中止されていたようです。密を避けることから集団検診がほとんど中止になりました。医療機関での検診は人数制限が設けられ、細々と行われていましたが、検診センターなどの専門の施設も当時は閉鎖されていました。特に胃の内視鏡検査は、感染のリスクが高いと判断され、ガウンなどの防護資材も不足していたことから、ほとんどの施設で中止されていました。緊急事態宣言の解除に伴い、ほとんどの検診は再開されましたが、第三波・第四波の影響で、再び受診者数は減少しているようです。
 検診の受診者数の減少は、がんの早期診断の遅れにつながる可能性がありますが、どれほどの影響があるのかは、まだわかっていません。わが国では、もともと検診の受診率が低いと言われていますので、これまで検診を受診していない人については、ちゃんと受けるべきです。しかし、検診の種類によっては適切な検診間隔が決まっているものがあり、胃・子宮頸・乳がん検診に関しては、2年に1回が妥当とされています。これよりも頻回に受診してきた方はあえて毎年受診する必要はありません。適切な検診間隔を見直す機会にしてください。また第一波のときとは異なり、ごく一部の流行地域を除き、病院での精密検査や治療への制限はなくなってきています。コロナ患者さんが入院されている病院であっても、一般の職員や患者さんとは全く導線が交わらないように配慮されているので、病院に行って感染する危険性はありません。万が一がんが見つかってしまった場合も、安心して治療を受けられるようになっています。

 

 

国立がん研究センター社会と健康研究センター検診研究部/部長 中山 富雄
出典 The Way Forward No.19 2021年

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