がんと診断されると目の前が真っ暗になりますよね。仕事どころじゃないというお気持ちになるのはとても理解できます。でもすぐに仕事を辞めると判断するのはちょっと待ってください。

　治療計画の概要が見えてきた時点で、配慮が必要な期間や出来る事、出来ない事を伝えると、企業は従業員に対応するようにしなければならないとされています。がん治療で体調が悪いと一緒に働いている人に迷惑がかかるなどとすぐにあきらめず、職場に伝えると困った時はお互い様と考えてくれる場合も決して少なくありません。治療には経済的な負担がかかる場合もあり、仕事を辞めて社会との繋がりを絶ってしまうと、つらい治療にもうまく向き合えないこともあります。

　私の患者さんにも仕事をつづけるかどうか悩んだ方がたくさんいますが、あの時仕事を辞めなくて良かったとお話する方がほとんどです。まずは病院に設置されている「がん相談支援センター」で医療ソーシャルワーカーなどに相談することをお勧めします。

北海道がんセンター副院長　　　高橋　將人

出典　The Way Forward No.17, 2020年